村岡哲郎さん
(日本植物調節剤研究協会)
「植調って?~メソコズムや除草剤草種別効果DBの話題も交えての紹介~」
○植調HP(植調:日本植物調節剤研究協会)
内容豊富でしたので、<トピック>ごとに☆質問や議論、→質問の答え、○補足情報としてまとめました。詳細はプレゼンファイルをご覧下さい。配布資料ファイルもあります。(共有ファイル格納ページへ)
<農薬について>
農薬登録の検査項目には、薬効、薬害、毒性、残留性がある。初めは、ちゃんと効く農薬を普及させるために出来た農薬登録制度だが、近頃は主に安全性の確保が強調されている。ちゃんと効く除草剤の普及により、除草労働時間は減り、除草剤防除コストは減っている。残留性についてはGLP制度へ移行中。
○GLP (Good Laboratory Practice:優良試験所基準)
安全性を評価する検査や試験が正確かつ適切に行われたことを保証するための基準。
<植調協会の事業>
1.植物調節剤の「薬効、薬害」試験の実施
2.植物調節剤(材)の普及奨励
3.研究調査事業の推進
4.月刊誌「植調」の編集・刊行
5.諸団体との交流、講習
☆薬効試験の対象雑草種は決まっているのか?
→決まっているが、状況に応じて追加する。
☆圃場による雑草発生の偏りはどうしているのか?
→土を相互に混ぜたり、前年になるべくタネを落とさせたり、多年生草本は抜いたりの工夫をするが、基本的には自然発生。雑草種間の競合を加味した評価が必要。
☆ポット試験の土壌条件について
→土壌のタイプはいろいろ試す。吸着率が違うので効きやすさとか違うので。
<畑作除草剤の草種別効果情報の蓄積・公開に向けて>
上記1の事業で得られたデータが長年にわたって蓄積されている。2や3の事業として、このデータを整理して公開すれば、雑草防除に大きく貢献できる。データベース化→検索システムの作成→研究者による解析。データベース化の際、抽出する項目、フォームをどうするか?誰か一緒にやりませんか?
☆まずは全部の試験の紙媒体をPDF化し、作物名+薬剤(成分)名とか雑草名+薬剤(成分)名で検索すると、そのPDFにアクセスできるようにする。
☆コンピュータの発達でクロス集計などの解析は、結構容易になっているので、
とにかく時系列に全てのデータを打ち込むだけで十分かも(大福帳)。
<除草剤の生態影響評価のためのメソコズム試験>
①評価の目的は、生物種と生態系機能の保全。
②「毒性」の評価をより現場に近い条件で行うために、従来の個体ベースの室内試験と野外のモニタリング調査のギャップをメソコズム試験で埋める。
③エンドポイントについて。回復可能な影響は許容するか。農薬以外の環境要因による変動をどう加味するか。Ecolocically Acceptable Concentration (EAC:生態の機能及び群集の構造に悪影響を及ぼさない濃度の導出)のためには、農薬関連、生態学関連の研究者の参加、協力が必要。
☆農業をやると水辺の生き物が減るといったデータがあるが、どの時点と比べてそう言えるのか不明瞭。除草剤をまくと生き物が減るというが、それが除草剤だけの影響なのかを明確に示したデータはない。
☆農法変化による生態リスク評価が必要。
☆無農薬であることの弊害(品質など)の評価も必要。
○メソコズム(Mesocosm)
人工的に作った生物と非生物を含む生態系。
実験操作が可能でかつ、自然生態系を再現してますよ~と言える適度なサイズ。
より小さい規模のモデル生態系であるMicrocosmとは異なる。
植調は、農薬登録制度(農薬取締法)のフレームに沿ってピシャッと構成されている組織なんですね。今や農薬による健康リスクや生態リスクは限りなく低い方向に進んでいるようだけど、農薬は危ない的な思い込みによる経済的リスクはどんどん高くなっている気がします。思い込みリスクを減らすためには、より現実に近い生態リスク評価はやはり必要です(禅問答か!)。まずは、従来の個体ベースの評価モノサシとメソコズム試験による個体群、群集ベースの評価モノサシの関連がわかるような試験設計、計画を立て、実行すること。合わせて、農業体系ベースで複数のリスク要因を盛り込んだ評価を進めること。両方のアプローチを考えていきたいですね(水口感想)。