2010年6月24日木曜日

2010/06/24 第14回勉強会

常田岳志さん
(農業環境技術研究所・大気環境研究領域)
「つくばみらいFACEにおける水田からのメタン発生研究のご紹介
~分野を超えたトレードオフ研究の必要性を交えて~」


FACE(開放系大気CO2増加)圃場における研究のお話をネタに水田からメタンが発生するメカニズムを易しく解説していただき、メタン発生緩和対策をとった場合に考え得る他のリスクとのトレードオフについて問題提起していただきました。シロアリもメタンを出しているというのと、イネのシンク能が低いと受け入れられなかった光合成産物が地下に逃げてメタンが増える話と、同位体比を使ってメタンが土由来かイネ由来かわかるという話が面白かったです。


質疑というか盛り上がったネタ(メモ的まとめ)

☆鉄が土壌にどのくらい含まれるかでメタン発生量が違う。カドミとの関連で「その鉄は何鉄?」とのツッコミ。なんだか鉄をキーにしていろいろつながっているらしい。


☆メタン発生緩和には土壌に酸素を供給できる間断灌水が有効だが、カドミの吸収抑制には土壌を還元化する中干しが有効らしい。これにも鉄がからむらしい。窒素もからみますよね?結局、後期除草剤というのはからむんでしたっけ?この水管理は、タイミングと強弱によって収量と倒伏しやすさが変わってくるので、農家さんのワザが光る部分です(←水口調べ)。そしてこの水管理のしやすさは農地整備によって良くなっていて、排水性の改善によりメタンは減っている(FACEとFOEASで手を組むらしい)。農地整備によって生物はどうなったか?

常田さんからのコメント↓
土壌を硫酸の還元によって発生するH2SとCdが反応してCdSになるとカドミは吸収されなくなります。よって、カドミ吸収抑制には、土壌を還元化したほうがよいわけです。一方、硫酸の還元がはじまる段階になると、メタンもぼちぼち発生してくるので、そこでトレードオフの問題がでてしまいます。中干しも間断灌漑同様、土壌を酸化するので、カドミにとっては吸収抑制にはなりません。


☆稲わら堆肥施用、冬期湛水、田畑転換、合鴨除草、、、いろいろありますが、農法の違いによってメタンの出方が違うだろう。メタンで出すかCO2で出すか?どっちが温室効果が低い?その他のリスク(カドミとか生物多様性とか)との兼ね合いは?

常田さんからのコメント↓
光合成によって大気から固定された炭素をCO2で大気へ戻せばニュートラルです。メタンはCO2の25倍の温室効果があるので(IPCCの4次報告書、100年換算の地球温暖化係数)、温室効果を減らすには以下にメタンでなくCO2で出すかが重要になります。
 


すべてはバランスによって決まるし、最適バランスは地域とかによって違うのでしょうが、その最適バランスを判断できるような仕組み、つまり「生態リスクを考慮した意思決定支援システム」を作るというのがリスク勉強会のテーマでした。今回出たネタをベースにもう少し他の分野(物質循環、栄養塩、農地工学系とか)の人にも加わっていただければ「つながり」を整理できるのではないかと思います。あと「生物多様性への影響は?」となるとトタンにあいまいな議論になるので生き物係はもっと頑張らねばなりません。常田さんの問題提起はこの勉強会のネタにぴったりで大変盛り上がりました。今後はことある毎に「つながり」ネタを提示して具体的に詰めていきたいと思います(水口感想というか決意)。


○参考情報
・常田岳志さん 農環研研究者情報
http://www.niaes.affrc.go.jp/researcher/z_tokida_t.html

・農業と環境 No.114 メタン:水田から出る温室効果ガス
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/114/mgzn11412.html

・シロアリの力借り物質循環の謎を解く
http://www.jst.go.jp/kisoken/seika/zensen/04kudou/





2010年6月17日木曜日

2010/06/17 企画セミナー

今回のセミナーは、東工大の岩崎雄一さんが国環研の林岳彦さんのセミナーを聞きにつくばにいらっしゃると聞き、勉強会メンバーの永井孝志さんに企画していただいたものです。企画趣旨については、永井孝志さんのブログにも紹介されています。



企画セミナーのテーマ
「脱・基準値思考のススメ ~生態系を例に~」

永井孝志さん
(農業環境技術研究所・有機化学物質研究領域)
「趣旨説明:なぜ基準値はアテにならないのか?」

化学物質の基準値はかなり安全側に設定されています。それに対し、基準値の設定されていない天然由来の毒物を私たちは結構たくさん食べてたりします。そもそも基準値って意外と曖昧に決められていたりするもんなんです。そんな基準値に振り回されないためには、基準値が設定された背景と枠組みをきちんと把握し、どの部分が科学的に妥当でないかを明らかにし、その妥当でない部分に科学的根拠を与えることが必要でしょう。という趣旨。



永井孝志さん
「農薬の生態リスク評価:基準値を超えた場合に何が起こるのか?」

(内容の骨子は下記要旨を参照下さい。)
室内での個体レベルの急性毒性試験に回復性試験を加えることで個体群レベルでリスク評価すという取り組みのお話しでした。質疑では、影響のタイムラグをどう考えるか?とか、農薬の作用機作ごとに影響の出方が違うことが整理できればいいねとかとかがありました。

※発表資料は限定公開 ご希望の方は nougyourisk(at)gmail.com までご連絡下さい。

 

岩崎雄一さん 
(東京工業大学大学院理工学研究科)
「河川底生動物群集に及ぼす亜鉛の影響:許容可能な濃度をどう決めるか?」

(内容の骨子は下記要旨を参照下さい。)
野外調査の結果から亜鉛の影響を見いだすというアプローチのお話しでした。質疑では、生態影響は「種組成やアバンダンスの変化→種数の低下→生態機能の低下」という段階を追って出るとも考えられるので、種数の減少だけで評価するのはどうか?とかがありました。

 ↑についてのコメントが岩崎さんのブログに掲載されています。

※発表資料は限定公開 ご希望の方は yuichiwsk (at) gmail.com までご連絡ください。
岩崎雄一さんHP


こうした実験、調査による科学的根拠の積み上げって、今のところ「誰がどこまでちゃんとやるか(やれるか)」に大きく依存してしまっているのが辛いところですね。早いとこ関連分野間で連携して「何をどこまでちゃんとやるか」を共有して明示しないと、生態リスク評価はいつまでたってもだいたいだと言われかねません(水口感想)。


---発表要旨--------------------------------------
平成22年6月17日 13:30-15:00 農環研4階453会議室
テーマ「脱・基準値思考のススメ ~生態系を例に~」

趣旨説明:なぜ基準値はアテにならないのか?(永井孝志)


発表者:永井孝志 (農環研 有機化学物質研究領域)

発表タイトル:農薬の生態リスク評価:基準値を超えた場合に何が起こるのか?

要旨:農薬取締法に基づく農薬の生態リスク評価では、メダカ又はコイ,オオミジンコ,緑藻のいわゆる「3点セット」の生物種を用いた急性毒性試験結果によるLC50(半数致死濃度)もしくはEC50(半数影響濃度)を、種間の感受性差に関する不確実性係数(10 or 1)で除したものの最小値が基準値として設定される。これを超えたときに生態系では何が起こるのか。数理モデルによる予測を試みるため、藻類個体群動態モデルを開発した。除草剤プレチラクロールを対象として、増殖阻害や致死的影響、体内への取り込みや代謝などのパラメータを設定してモデルの構造を検討した。


発表者:岩崎雄一 (東京工業大学大学院理工学研究科)

発表タイトル:河川底生動物群集に及ぼす亜鉛の影響:許容可能な濃度をどう決めるか?

要旨:2003年に日本で初めて,水生生物の保全を目的とした水質環境基準が全亜鉛について設定された(淡水域は30μg/L)。しかしながら,この水質環境基準は「水生生物の個体群レベルでの存続」をその目的として掲げている一方で,実際の基準値は個体レベルの影響を評価した室内毒性試験結果から導出されている。そこで,本研究では,基準値の妥当性を検証する上での判断材料を得るために,河川底生動物群集を対象とした野外調査の結果に基づき,亜鉛濃度の影響を評価した。


☆その後、国立環境研究所の生物系若手セミナーへ参加☆
林岳彦さん 
「なぜベイズ統計はリスク評価に適しているのか?:その哲学上および実用上の理由」

たいへん勉強になりました。特に「仮説検定の考え方をリスク解析に適用するのは筋違いだ」というくだりとか。GM作物の生態リスク評価は、実は仮説検定でやられており、私(水口)はずっと「統計的有意差は生態的に意味があるの?」とつぶやいていました。折を見て、林さんにGM研究者向けにお話ししていただく機会を作りたいなと思っています。

当日のプレゼンファイルは、林岳彦さんのブログで提供されています。


☆その後、国環研セミナーと合同で「夜の部」を開催☆
19:00- 居酒屋「大漁丸」にて

十数名の参加があり、楽しい飲み会になりました♪



2010年5月17日月曜日

2010/05/17 第13回勉強会

飯泉仁之直さん
(農業環境技術研究所・大気環境研究領域)
「農業生産性における気候変化リスクの評価とその周辺」


猛暑や冷夏は農作物の収量低下(それに伴う粗収益の減少)を引き起こします。そうした収量変動は農家さんにとっては大きなリスクです。そのリスク対応策として農作物共済の制度があります。将来の共済制度のあり方を考えるため、モデルと気候変化シナリオを駆使して、現在の気象データと収量データから、温暖化世界の未来予想図を作成しましたというお話しでした。その段取りや手法について、詳細にご説明を頂きました。トピックとし ては以下の4つです。詳細はプレゼンファイルをご覧下さい(共有ファイル格納ページへ)。

1.日本の高解像度な気候変化シナリオ
2.気象データからイネの収量を予測するモデル
3.1と2を合体して、温暖化に伴うイネの収量変動リスクを予測
4.支払われる共済金の温暖化による変化を予測

2℃上昇というシナリオであれば、南の県では減収する場合もあるが、北の県で増収するので日本全体の総計としては増収であり、悪影響を防ぐために積極的な適応が必要な地域は限定されるというオチでした。冷夏による減収リスクが下がるってのが効いているらいしです。 各モデルの時空間的スケールを一致させるのと、時空間的な変動性と不確実性を整理するというのが難しそうでした。


質疑(順不同)
☆品種改良技術の発展速度を指標化して、共済金の予測に入れ込むとよいかも。
☆品種や作期を選択するためのシステムができそう。
☆共済金が支払われた減収のうち90%が気象のせいだが、低温年のいもち病発生は気象のせいになっているのか。そこへんの区別が難しいね。
☆農薬開発技術の発展速度の指標化も必要かも。
☆温暖化に伴って雪が減って雨が増えると、春先の雪解け水が減るから北の方ではため池が必要になる。乾田直播が増えたりして。。。
☆温暖化で、台風は頻度が減って、強度が上がる。
☆三重県は伊勢湾台風を教訓に、収穫を盆前にしたいので、田植えは4月末。


実際の取り組みとしては、収量は落ちなくても味が落ちるということで、高温耐 性の品種開発が進められたり、普及所ごとに作期調整が実施されているそうです。飯泉さんの作成された県別の減収リスクマップは、そうした取り組みに対して科学的根拠にもとづいた具体的な示唆を与えるのにとても有効だと思いました。また今後は、温暖化に伴う二次的な変化、例えば作期調整による他の生態リ スクの変化(病害虫の活性化や雑草発生時期の変化)とか温暖化に伴わない変化 (人口の増減、農業技術の発展など)についても考慮した未来予想図Ⅱの構築が必要になってくるのでしょうから、温暖化プロとかでそこへんの連携が進んでい るのかどうかも興味あるところです(水口感想)。



○参考情報
・飯泉仁之直さん 農環研研究者情報
・「適応」とは国や地域を作り変えること どうなる どうする温暖化:座談会 日経エコロジーリポート 
※飯泉さんの写真付きです。

・『どうなる、どうする? 地球温暖化 大切なのは詳しい影響予測と緩和策』
林陽生 世界と日本の技術交流 農業技術つくばリサーチギャラリー
・IPM資材館 地球温暖化と農業

・温暖化による田植えの遅延 神奈川県の農家さんのブログ  http://blog.goo.ne.jp/sasamuraailand/e/5d4202e027a44511d5c94d4af174d07f/?ymd=200707&st=1



2010年4月26日月曜日

2010/04/26 第12回目勉強会

村岡哲郎さん
(日本植物調節剤研究協会)
「植調って?~メソコズムや除草剤草種別効果DBの話題も交えての紹介~」

○植調HP(植調:日本植物調節剤研究協会)

内容豊富でしたので、<トピック>ごとに☆質問や議論、→質問の答え、○補足情報としてまとめました。詳細はプレゼンファイルをご覧下さい。配布資料ファイルもあります。(共有ファイル格納ページへ

<農薬について>
農薬登録の検査項目には、薬効、薬害、毒性、残留性がある。初めは、ちゃんと効く農薬を普及させるために出来た農薬登録制度だが、近頃は主に安全性の確保が強調されている。ちゃんと効く除草剤の普及により、除草労働時間は減り、除草剤防除コストは減っている。残留性についてはGLP制度へ移行中。

○GLP (Good Laboratory Practice:優良試験所基準)
安全性を評価する検査や試験が正確かつ適切に行われたことを保証するための基準。

<植調協会の事業>
1.植物調節剤の「薬効、薬害」試験の実施
2.植物調節剤(材)の普及奨励
3.研究調査事業の推進
4.月刊誌「植調」の編集・刊行
5.諸団体との交流、講習

☆薬効試験の対象雑草種は決まっているのか?
→決まっているが、状況に応じて追加する。
☆圃場による雑草発生の偏りはどうしているのか?
→土を相互に混ぜたり、前年になるべくタネを落とさせたり、多年生草本は抜いたりの工夫をするが、基本的には自然発生。雑草種間の競合を加味した評価が必要。
☆ポット試験の土壌条件について
→土壌のタイプはいろいろ試す。吸着率が違うので効きやすさとか違うので。

<畑作除草剤の草種別効果情報の蓄積・公開に向けて>
上記1の事業で得られたデータが長年にわたって蓄積されている。2や3の事業として、このデータを整理して公開すれば、雑草防除に大きく貢献できる。データベース化→検索システムの作成→研究者による解析。データベース化の際、抽出する項目、フォームをどうするか?誰か一緒にやりませんか?

☆まずは全部の試験の紙媒体をPDF化し、作物名+薬剤(成分)名とか雑草名+薬剤(成分)名で検索すると、そのPDFにアクセスできるようにする。
☆コンピュータの発達でクロス集計などの解析は、結構容易になっているので、
とにかく時系列に全てのデータを打ち込むだけで十分かも(大福帳)。

<除草剤の生態影響評価のためのメソコズム試験>
①評価の目的は、生物種と生態系機能の保全。
②「毒性」の評価をより現場に近い条件で行うために、従来の個体ベースの室内試験と野外のモニタリング調査のギャップをメソコズム試験で埋める。
③エンドポイントについて。回復可能な影響は許容するか。農薬以外の環境要因による変動をどう加味するか。Ecolocically Acceptable Concentration (EAC:生態の機能及び群集の構造に悪影響を及ぼさない濃度の導出)のためには、農薬関連、生態学関連の研究者の参加、協力が必要。

☆農業をやると水辺の生き物が減るといったデータがあるが、どの時点と比べてそう言えるのか不明瞭。除草剤をまくと生き物が減るというが、それが除草剤だけの影響なのかを明確に示したデータはない。
☆農法変化による生態リスク評価が必要。
☆無農薬であることの弊害(品質など)の評価も必要。

○メソコズム(Mesocosm)
人工的に作った生物と非生物を含む生態系。
実験操作が可能でかつ、自然生態系を再現してますよ~と言える適度なサイズ。
より小さい規模のモデル生態系であるMicrocosmとは異なる。


植調は、農薬登録制度(農薬取締法)のフレームに沿ってピシャッと構成されている組織なんですね。今や農薬による健康リスクや生態リスクは限りなく低い方向に進んでいるようだけど、農薬は危ない的な思い込みによる経済的リスクはどんどん高くなっている気がします。思い込みリスクを減らすためには、より現実に近い生態リスク評価はやはり必要です(禅問答か!)。まずは、従来の個体ベースの評価モノサシとメソコズム試験による個体群、群集ベースの評価モノサシの関連がわかるような試験設計、計画を立て、実行すること。合わせて、農業体系ベースで複数のリスク要因を盛り込んだ評価を進めること。両方のアプローチを考えていきたいですね(水口感想)。



リスク勉強会 事後報告用ブログを開設しました


農業生態系におけるリスクについて、異分野の研究者が情報を共有し、つながりを意識しようという勉強会を行っています。
この活動を通して、「もうかる農業」を実現するための意思決定支援システムの作成に貢献します。

このブログでは、その勉強会の事後報告を掲載しています。

第1回目勉強会は遡って、2009年10月2日に行われました。
その後、不定期に勉強会を行い、本日(2010年4月26日)で12回目となりました。
そろそろ、管理人・水口亜樹の記憶力では管理しきれなくなってきたため、メンバーの了承の元、ホームページとこのブログを開設しました。
第1回目から5回目までの勉強会の事後報告は、現在工事中です。

ホームページはこちら↓


尚、このブログの報告は、管理人・水口亜樹の責任で作成し、勉強会の話題提供者の承認を得て掲載しています。

この勉強会に参加ご希望の方は、その旨、下記宛にご連絡下さい。
また、各話題に対するご意見、ご感想などは、各コメント欄にお寄せ下さい。

nougyourisk (あっとまーく) gmail.com ※(あっとまーく)は@に変えて下さい。


2010年3月15日月曜日

2010/03/15 生態学会自由集会の事後報告


先日(3月15日)の生態学会自由集会の事後報告です。
自由集会の要旨リンク↓


基本的にプレゼンファイルを見ていただければ発表内容はわかると思うので、<キーセンテンス>と☆質疑内容、○関連情報、●参考情 報(水口バイアス有り)をまとめました。

池田浩明(農環研)
司会:これまでの化学物質自由集会の経緯説明
○2007、2008、2009年の要旨↓


永井孝志(農環研)
趣旨説明:農業生態系のリスク管理は、農業全体のあり方の中で議論すべし
<バックキャストによる農業システム総合評価のための研究フレームをつくりま しょう!>
●バックキャストとは、 問題解決のために、将来目標をはっきり決めてから、今やるべきことを考え具体 的計画を立てるという手法のこと。現状の技術レベルから予測して実現可能そう な目標を立てる(ありがちな)フォアキャスト的手法の反対。
●スウェーデンがバックキャスト的手法でいい社会を作っている例 http://www.iftech.or.jp/miraisite/071110siryou/dai4_kaburagi2.pdf
●スウェーデンを真似した日本の環境省の例
●スウェーデンを真似した日本の国土交通省の例 http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/futurevision/
(いずれも持続可能な社会発展が最終目標のようです。)


水口亜樹(農環研)
遺伝子組換え作物の生態リスク評価

<現状改善のために、何をどうやって評価するかをちゃんと決めてみた話>

<先駆けている他分野のリスク評価手法を真似していけば、リスクの比較と評価 の統合ができそう>

☆質疑(植調・村岡哲郎さん)
公正かつ効率的な事前評価を、との主張があるが、GMでない他の技術によって作 られた作物でも同様のリスクが想定されるのに、GMだけが評価対象になってしま うのは何故か?
→GMは他の技術と比べて社会的受容が低いからこそ、詳細な 評価が必要とされている。公正かつ効率的な 評価をするためには、GM作物使用の有無に関わらず、農業システムの総合評価が必要だと思う。

☆質疑(司会・池田浩明さん)
生態リスクが生じる前の経路で、近縁種への遺伝子浸透の経路を挙げていたが、 この経路はどう評価するのか?
→今のところ具体的に取り組んでないが、雑種の個体群存続性であれば、同じや り方で評価できると思う。

○除草剤耐性GM作物+不耕起栽培の例に関する文献
Brook & Barfoot (2008) Global impact of Biotech Crops: Socio-Economic and environmental effects, 1996-2006. AgBioForum, 11: 21-38
イギリスのGMプロジェクトの一貫で、農業所得、農薬使用量、環境、炭素隔離におけるGM作物栽培の影響をグローバルな視点で定量化した論文。

●GMの生物多様性影響評価の運用がちょっと変わるらしい(パブコメ中) http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/setumei_100318.htm


永井孝志(農環研)
農薬の生態リスク評価

<現状改善のために、不確実性を考慮した評価手法を具体的に提示>

<総合的評価にどの手法を使うにしても、過程を明示することが重要>

☆質疑(横国大・松田裕之さん)
総合的評価の手法として挙げた多基準分析におけるウエイト(重み付け)は、ど ういう根拠で決めるのか?
→科学的に正しいウエイトはない。なのでウエイトの付け方は争点になりがち。 だからこそ、どうやって決めたかを明示することが大事。

☆・・もう1コ質疑があったような・・ 

●次の日の企画シンポS06「生態リスクにどう向き合うのか?」まとめサイト http://d.hatena.ne.jp/hayashi-takehiko/
永井孝志(農環研)
2. モンテカルロシミュレーションを用いた農薬の生態リスク解析


浅井元朗(中央農研)
農地雑草の総合的防除:防除の多様性とリスク分散

<実際に農業体系ごとの雑草リスクを定量化して比較した例>

<多様な農業システムは農業の維持と生態系の維持を両立させる>

○イギリスの農場規模評価の例
Andow 2003 UK farm-scale evaluations of transgenic herbicide-tolerant crops. Nature Biotechnology 21: 1453-1454

●イギリスの試みについては、以下の本に詳細な解説がある。
農業と雑草の生態学
(種生物学会編 責任著者 浅井元朗・芝池博幸 文一総合 出版 2007)
第9章 遺伝子組換え作物と生物多様性ー農場規模評価(FSE)の意義  澤田均 P247-272
※その他の章も大変おもしろいです。


澤田 均(静岡大・農)
コメント:どのように「つながり」を考慮するか?

<農業システムの総合評価における海外の事例紹介>

<生態系への影響を総合的に評価するには「食物網」を意識する必要あり>

○スイスgm-impact

○オランダ景観スケールの生態系サービス

●今回の生態学会では、生物種そのものだけでなく、食物網に注目して種間関係 とその機能性を評価する研究が流行っていた(3/17口頭発表H2-06, 07, 09とか 3/20保全生態研究会の高田まゆらさんとか)。


池田浩明(農環研)
総合討論:つながりを意識する

<評価対象の規模が異なると統合しにくい>

<将来目標と評価研究フレームを共有しましょう>

☆全体質疑(中央農研・黒川俊二さんを指名)
なんにせよデータの蓄積と情報の伝達ネットワークの整備を進めていかねばなり ませんな~(関西弁)



その他情報
○永井孝志さんがご自身のブログに本集会の様子をまとめています。 http://shimana7.seesaa.net/article/144121184.html



今回は、メモをあまりとらなかったので、脳内変換されている箇所があるかもしれません。集会後にいろいろな人とお話しする中で、農業システムの総合評価実現のために具体的に何をやればいいかがわかってきました。もう少しまとまった ら勉強会の際にお話しして行きたいと思います。



2010年3月10日水曜日

2010/03/10 第11回勉強会

内容:生態学会自由集会の予行練習

自由集会の要旨リンク↓

とか言って、練習だったので特に報告することはありません。