2010年3月15日月曜日

2010/03/15 生態学会自由集会の事後報告


先日(3月15日)の生態学会自由集会の事後報告です。
自由集会の要旨リンク↓


基本的にプレゼンファイルを見ていただければ発表内容はわかると思うので、<キーセンテンス>と☆質疑内容、○関連情報、●参考情 報(水口バイアス有り)をまとめました。

池田浩明(農環研)
司会:これまでの化学物質自由集会の経緯説明
○2007、2008、2009年の要旨↓


永井孝志(農環研)
趣旨説明:農業生態系のリスク管理は、農業全体のあり方の中で議論すべし
<バックキャストによる農業システム総合評価のための研究フレームをつくりま しょう!>
●バックキャストとは、 問題解決のために、将来目標をはっきり決めてから、今やるべきことを考え具体 的計画を立てるという手法のこと。現状の技術レベルから予測して実現可能そう な目標を立てる(ありがちな)フォアキャスト的手法の反対。
●スウェーデンがバックキャスト的手法でいい社会を作っている例 http://www.iftech.or.jp/miraisite/071110siryou/dai4_kaburagi2.pdf
●スウェーデンを真似した日本の環境省の例
●スウェーデンを真似した日本の国土交通省の例 http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/futurevision/
(いずれも持続可能な社会発展が最終目標のようです。)


水口亜樹(農環研)
遺伝子組換え作物の生態リスク評価

<現状改善のために、何をどうやって評価するかをちゃんと決めてみた話>

<先駆けている他分野のリスク評価手法を真似していけば、リスクの比較と評価 の統合ができそう>

☆質疑(植調・村岡哲郎さん)
公正かつ効率的な事前評価を、との主張があるが、GMでない他の技術によって作 られた作物でも同様のリスクが想定されるのに、GMだけが評価対象になってしま うのは何故か?
→GMは他の技術と比べて社会的受容が低いからこそ、詳細な 評価が必要とされている。公正かつ効率的な 評価をするためには、GM作物使用の有無に関わらず、農業システムの総合評価が必要だと思う。

☆質疑(司会・池田浩明さん)
生態リスクが生じる前の経路で、近縁種への遺伝子浸透の経路を挙げていたが、 この経路はどう評価するのか?
→今のところ具体的に取り組んでないが、雑種の個体群存続性であれば、同じや り方で評価できると思う。

○除草剤耐性GM作物+不耕起栽培の例に関する文献
Brook & Barfoot (2008) Global impact of Biotech Crops: Socio-Economic and environmental effects, 1996-2006. AgBioForum, 11: 21-38
イギリスのGMプロジェクトの一貫で、農業所得、農薬使用量、環境、炭素隔離におけるGM作物栽培の影響をグローバルな視点で定量化した論文。

●GMの生物多様性影響評価の運用がちょっと変わるらしい(パブコメ中) http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/setumei_100318.htm


永井孝志(農環研)
農薬の生態リスク評価

<現状改善のために、不確実性を考慮した評価手法を具体的に提示>

<総合的評価にどの手法を使うにしても、過程を明示することが重要>

☆質疑(横国大・松田裕之さん)
総合的評価の手法として挙げた多基準分析におけるウエイト(重み付け)は、ど ういう根拠で決めるのか?
→科学的に正しいウエイトはない。なのでウエイトの付け方は争点になりがち。 だからこそ、どうやって決めたかを明示することが大事。

☆・・もう1コ質疑があったような・・ 

●次の日の企画シンポS06「生態リスクにどう向き合うのか?」まとめサイト http://d.hatena.ne.jp/hayashi-takehiko/
永井孝志(農環研)
2. モンテカルロシミュレーションを用いた農薬の生態リスク解析


浅井元朗(中央農研)
農地雑草の総合的防除:防除の多様性とリスク分散

<実際に農業体系ごとの雑草リスクを定量化して比較した例>

<多様な農業システムは農業の維持と生態系の維持を両立させる>

○イギリスの農場規模評価の例
Andow 2003 UK farm-scale evaluations of transgenic herbicide-tolerant crops. Nature Biotechnology 21: 1453-1454

●イギリスの試みについては、以下の本に詳細な解説がある。
農業と雑草の生態学
(種生物学会編 責任著者 浅井元朗・芝池博幸 文一総合 出版 2007)
第9章 遺伝子組換え作物と生物多様性ー農場規模評価(FSE)の意義  澤田均 P247-272
※その他の章も大変おもしろいです。


澤田 均(静岡大・農)
コメント:どのように「つながり」を考慮するか?

<農業システムの総合評価における海外の事例紹介>

<生態系への影響を総合的に評価するには「食物網」を意識する必要あり>

○スイスgm-impact

○オランダ景観スケールの生態系サービス

●今回の生態学会では、生物種そのものだけでなく、食物網に注目して種間関係 とその機能性を評価する研究が流行っていた(3/17口頭発表H2-06, 07, 09とか 3/20保全生態研究会の高田まゆらさんとか)。


池田浩明(農環研)
総合討論:つながりを意識する

<評価対象の規模が異なると統合しにくい>

<将来目標と評価研究フレームを共有しましょう>

☆全体質疑(中央農研・黒川俊二さんを指名)
なんにせよデータの蓄積と情報の伝達ネットワークの整備を進めていかねばなり ませんな~(関西弁)



その他情報
○永井孝志さんがご自身のブログに本集会の様子をまとめています。 http://shimana7.seesaa.net/article/144121184.html



今回は、メモをあまりとらなかったので、脳内変換されている箇所があるかもしれません。集会後にいろいろな人とお話しする中で、農業システムの総合評価実現のために具体的に何をやればいいかがわかってきました。もう少しまとまった ら勉強会の際にお話しして行きたいと思います。



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