飯泉仁之直さん
(農業環境技術研究所・大気環境研究領域)
「農業生産性における気候変化リスクの評価とその周辺」
猛暑や冷夏は農作物の収量低下(それに伴う粗収益の減少)を引き起こします。そうした収量変動は農家さんにとっては大きなリスクです。そのリスク対応策として農作物共済の制度があります。将来の共済制度のあり方を考えるため、モデルと気候変化シナリオを駆使して、現在の気象データと収量データから、温暖化世界の未来予想図を作成しましたというお話しでした。その段取りや手法について、詳細にご説明を頂きました。トピックとし ては以下の4つです。詳細はプレゼンファイルをご覧下さい(共有ファイル格納ページへ)。
1.日本の高解像度な気候変化シナリオ
2.気象データからイネの収量を予測するモデル
3.1と2を合体して、温暖化に伴うイネの収量変動リスクを予測
4.支払われる共済金の温暖化による変化を予測
2℃上昇というシナリオであれば、南の県では減収する場合もあるが、北の県で増収するので日本全体の総計としては増収であり、悪影響を防ぐために積極的な適応が必要な地域は限定されるというオチでした。冷夏による減収リスクが下がるってのが効いているらいしです。 各モデルの時空間的スケールを一致させるのと、時空間的な変動性と不確実性を整理するというのが難しそうでした。
質疑(順不同)
☆品種改良技術の発展速度を指標化して、共済金の予測に入れ込むとよいかも。
☆品種や作期を選択するためのシステムができそう。
☆共済金が支払われた減収のうち90%が気象のせいだが、低温年のいもち病発生は気象のせいになっているのか。そこへんの区別が難しいね。
☆農薬開発技術の発展速度の指標化も必要かも。
☆温暖化に伴って雪が減って雨が増えると、春先の雪解け水が減るから北の方ではため池が必要になる。乾田直播が増えたりして。。。
☆温暖化で、台風は頻度が減って、強度が上がる。
☆三重県は伊勢湾台風を教訓に、収穫を盆前にしたいので、田植えは4月末。
実際の取り組みとしては、収量は落ちなくても味が落ちるということで、高温耐 性の品種開発が進められたり、普及所ごとに作期調整が実施されているそうです。飯泉さんの作成された県別の減収リスクマップは、そうした取り組みに対して科学的根拠にもとづいた具体的な示唆を与えるのにとても有効だと思いました。また今後は、温暖化に伴う二次的な変化、例えば作期調整による他の生態リ スクの変化(病害虫の活性化や雑草発生時期の変化)とか温暖化に伴わない変化 (人口の増減、農業技術の発展など)についても考慮した未来予想図Ⅱの構築が必要になってくるのでしょうから、温暖化プロとかでそこへんの連携が進んでい るのかどうかも興味あるところです(水口感想)。
○参考情報
・飯泉仁之直さん 農環研研究者情報
・「適応」とは国や地域を作り変えること どうなる どうする温暖化:座談会 日経エコロジーリポート
※飯泉さんの写真付きです。
・『どうなる、どうする? 地球温暖化 大切なのは詳しい影響予測と緩和策』
林陽生 世界と日本の技術交流 農業技術つくばリサーチギャラリー
・IPM資材館 地球温暖化と農業
・温暖化による田植えの遅延 神奈川県の農家さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/sasamuraailand/e/5d4202e027a44511d5c94d4af174d07f/?ymd=200707&st=1
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