池田浩明さん
(農環研・生物多様性研究領域)
「野生植物に対する水稲用除草剤のリスク評価と農薬の順応的管理」
新しく農薬を登録するには試験生物3種(藻類、甲殻類、魚類)を用いた急性毒 性試験が義務づけられている。生態学的見地から見ると、①試験生物種が少な く、生物界を代表していない。②室内実験なので実環境を再現できていない。③個体レベルの試験なので個体群レベルや群集レベルの影響を考えていない。とかい う問題がある。
そこを解決すべく、タコノアシ(通称:タコちゃん)のポット試 験データにもとづく個体群モデルでの検討を行い、「植物でも試験できるし、個 体群レベルへの影響も推定できるよ」という事を示した。
さらに農水路に生育す るエビモちゃんについていろんなところで時系列データをとった。その結果、 「エビモちゃんの被度と用水中の除草剤濃度がうまいこと対応し、いい感じに個 体群レベルのモニタリングができとるよ」という事を示した。
ともあれ、こうした生態学的データというのは常に実在性と偏在性のトレードオ フがつきまとう。それを解消するため、リスク評価→管理だけでなく、モニタリ ングによって実在性を付与し、そのモニタリングを全国でやることで偏在性を解 消するといった「ユビキタス順応的管理」を提案する。
イギリスではそういった システムがある。日本にも農環研が作ったRuLISというシステムがある。うまい こと活用して、データから施策シナリオが導出されるような国にせないかんですな。
というお話でした。
議論では、
☆定点個体群調査だけでは、撹乱で調査地が破壊された場合、時系列データが終 わってしまうので、集落レベルとかでモニタリングする方法があればいいのに。
☆有機農法でまとまっている集落についてモニタリングし慣行農法集落と比較す ることで、景観レベルの比較評価が可能では?
☆RuLISに、リモセン技術で土地利用区分を決めるようなシステムが加わると、モ ニタリングポイントを定めるのに有効なのでは?
☆生物多様性プロジェクトや全国生き物調査では、目標が明確でないので、施策 シナリオを導出できるようなデータの取り方がなされてない。
といったものがありました。
農薬取締法で定められた試験のデータと野外やメソコズムでの個体群レベル、群 集レベル、集落・景観レベルのデータを多少偏在的でもいいので対応させていけ れば、現行の試験を否定することもないし、メーカーさんの負担も増えないの で、そこ辺を繋ぐ生態学者の役割はでかいなと思いました(感想)。
以下、参考Web
○農薬取締法
○農環研 RuLIS
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